2割特例はいつまで?2026年終了後の「3割特例」と、慌てないための準備
「インボイス登録はしたけど、消費税のことはよく分からないまま、2割特例でなんとか申告してきた」——もしあなたがそうなら、この記事はそのまま“あなた向け”です。
最近「2026年で2割特例が終わるらしい」と聞いて、なんとなく不安になっていませんか。でも、結論から言うと慌てなくて大丈夫。終わった後にもちゃんと続きの制度が用意されていて、納める額が一気に跳ね上がるわけではありません。この記事では、何がどう変わるのか、そしてあなたがやるべきたった1つの準備を整理します。
30秒でわかる結論
- 2割特例は、個人事業主だと2026年分の確定申告までで終わります。
- その後、個人事業主だけが使える**「3割特例」**が登場します(2027・2028年分)。
- 納める割合は2割→3割へ少し増えますが、いきなり満額ではありません。「崖」ではなく、計画された「階段」です。
- あなたがやるべきことは基本ひとつ。簡易課税の届出のタイミングだけ忘れないこと(後で説明します)。
そもそも、なぜあなたは消費税を納めているんだっけ?
ごく簡単に復習します。消費税は「受け取った消費税 − 払った消費税」を国に納めるしくみで、取引先があなたに「インボイス登録して」と言ったのは、あなたの登録番号入りの請求書がないと取引先が自分の消費税を差し引けないからでした。あなたは登録したことで、本来は免税だったのに自分から課税事業者になった——だから消費税の申告が必要になっています。
(このあたりがあやふやな方は、先に「5分でわかる消費税のしくみ入門」を読むと、この記事がぐっと分かりやすくなります。)
2割特例は2026年で終わる。でも「廃止」ではなく「次の段階へ」
「2割特例が廃止される」と不安をあおる言い方をよく見かけますが、実態は少し違います。インボイス制度には、免税だった人がいきなり満額の消費税を負担しなくて済むよう、数年かけて慣らしていく「激変緩和」の設計がもともとあります。2026年は、その緩和が次の段階へ進むだけです。

- 2割特例:受け取った消費税の20%を納める。個人事業主は2026年分の申告まで。
- 3割特例:受け取った消費税の30%を納める。個人事業主の2027・2028年分。
- その先は簡易課税か本則課税へ。
金額でイメージしましょう。税込550万円(うち消費税50万円)の売上があった個人事業主なら、本来は50万円を納めるところ、2割特例では10万円、3割特例では15万円ですみます。たしかに2割→3割で約1.5倍になりますが、満額の50万円に一気に飛ぶわけではない、というのがこの「階段」の意味です。
3割特例の中身(個人事業主だけの制度です)
ここがこの記事のいちばん大事なところです。3割特例は、国税庁の令和8年度税制改正特集に示された制度で、ポイントは3つ。
- 対象は個人事業主だけ。法人は使えません。今回の改正で、法人向けには同じ延長措置が用意されませんでした。
- 主な要件は、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下で、インボイス発行事業者の登録を受けていること。
- 事前の届出は不要。確定申告のときに3割特例を使う旨を記載すれば適用できる見込みで、経費の集計もいりません。2割特例と同じく事務負担が軽いのが利点です。
対象になるのは、2027年3月と2028年3月に行う確定申告です。(細かな手続きは今後の政省令で最終的に固まる部分があるため、申告前に国税庁の最新情報を確認すると安心です。)
その先(2029年〜)と、あなたが唯一やるべき準備
3割特例も2028年分まで。その後は「簡易課税」か「本則課税」を選ぶことになります。フリーランスの多くは、売上にかかった消費税にみなし仕入率(サービス業は50%)を掛けて概算する簡易課税のほうが、経費を集計する本則課税より楽で有利になりやすいです。
ここで唯一の落とし穴があります。簡易課税は本来、使いたい年の前年末までに「簡易課税制度選択届出書」を出す必要があり、出し忘れると事務負担の重い本則課税が強制適用されてしまいます。
ただ、2割・3割特例を使ってきた人には救済があります。特例を使った翌年については、その年の確定申告期限までに届出を出せば簡易課税が使えるという緩和措置が用意されています。つまり「特例が切れてから動いても間に合う」設計です。やるべきことは難しくありません——自分の番が来たら、簡易課税の届出を忘れない。これだけ意識しておけば、損は避けられます。
補足:免税のままの人と、取引先の催促が強まる理由
「いっそ登録をやめて免税に戻れないの?」と思うかもしれません。基準期間の課税売上が1,000万円以下なら、登録を取り消して免税に戻ること自体は可能です。ただ、取引先からインボイスを求められている場合は、実質的に戻りにくいのが現実です。
その背景にあるのが、もう一つの「階段」です。免税事業者と取引する側が控除できる割合は、段階的に下がっていきます。

当初は2026年10月から一気に50%まで下がる予定でしたが、改正で70%スタートに緩和され、終了も後ろ倒しされました。とはいえ年々下がるのは変わらず、取引先が未登録者を使うコストは増えていくため、登録の打診や価格の相談は今後むしろ増えていく見込みです。だからこそ、登録した人は3割特例や簡易課税を上手に使って、無理なく続けられる体制を整えておくのが得策です。
まとめ
2026年は、インボイスの激変緩和が一段のぼる年です。2割特例は2026年分まで、個人事業主は2027・2028年分に3割特例、その先は簡易課税という出口がある——「崖」ではなく「階段」。あなたが慌ててやることはなく、簡易課税の届出のタイミングだけ覚えておけば十分です。
そして、どの段にいても土台になるのは、登録番号(Tから始まる13桁)入りの正しい請求書をきちんと出せていること。Notion Invoice JPは、Notionの案件データからインボイス対応のPDFをワンクリックで作れるサービスです(月3通まで無料)。請求書づくりの手間を減らしたい方は、のぞいてみてください。
出典・参考(一次情報)
- 国税庁「令和8年度税制改正特集」(3割特例・経過措置の見直し・簡易課税への移行措置) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
- 国税庁「インボイス制度(適格請求書等保存方式)特設サイト」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
※本記事は2026年6月時点の公開情報に基づく一般的な解説です。3割特例の細部は今後の政省令で確定する部分があります。具体的な有利・不利はご自身の売上・経費で変わるため、実際の申告にあたっては国税庁の情報を確認するか、税理士など専門家にご相談ください。